赤ちゃんのミルクについて
心配なときに
読んでください
出産後
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雪印ビーンスタークのメンバーズサイト まめコミの相談室には、「赤ちゃんがミルクを飲まないから心配」、「吐いてしまうけど大丈夫?」などといったお声が寄せられることがあります。
そのようなご相談におこたえしている内容やそのほかの情報をもとに、心配だと感じたときに読んでいただく参考情報をまとめてみました。
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ミルクは赤ちゃんが欲しがるだけ、あげればいい
赤ちゃんが「ミルクを飲まない」、「飲む量が少ない」と、心配になる方もいるかもしれません。
赤ちゃんによって、また赤ちゃんの都合で、飲んだり飲まなかったりすることがあります。顔色も良くご機嫌、排便排尿も変わりがない、体重も増えているようでしたら、それがお子様のペースなのかもしれません。まずは赤ちゃんが飲めるだけミルクを与えて、すこし様子をみてあげてください。 -
母乳は飲んでくれるけど、ミルクだと飲んでくれない場合
- ●哺乳びんから出てくるミルクの量を少しかえてみる
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哺乳びんのニプル(乳首)から出てくる量が赤ちゃんのペースと合っていないため嫌がることもあるようです。1回に飲みこめる量以上のミルクがお口の中に入ってしまうと、ごっくんと飲みこみにくく、むせてしまったり、苦しくて赤ちゃんが泣いてしまったりすることがあります。
授乳途中で哺乳びんを赤ちゃんの口からはなし、ゲップをさせて一呼吸つかせたり、哺乳びんのネジの閉め具合でミルクの出具合が変わりますので、飲みづらくしてゆっくりペースを作ってあげるのもおすすめです。 - ●哺乳びんの角度を少しかえてみる
- 哺乳びんの角度があっていないことで飲んでくれないこともあります。乳首に空気が入らないよう、背中に対し垂直に近い角度を意識してみましょう。(頭だけ上がると、飲みこみにくいこともあります。)授乳クッションなどを使って赤ちゃんの腰辺りから斜めに持ち上がるようにしていただけると、飲みやすくなることがあります。
- ●ミルクの温度を少しかえてみる
- ミルクは人肌(36℃くらい)であげますが、あたたかめが好きだったり、ぬるめが好きだったりと、赤ちゃんによって好みがあるようです。
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生後1か月半を過ぎる頃からミルクを飲まない(飲む量に変化がでてくる)
生後1か月半頃からミルクの飲む量に変化がでてくる赤ちゃんがいるようです。赤ちゃんひとりひとり個性があり、それまで飲み切っていた量のミルクを残す(舌でニプルを押し出す、手で払いのける、口をとじて開けてくれない)ようになることがあります。
これは、満腹中枢(まんぷくちゅうすう)が少しずつ発達し、母乳の出具合やお腹の空き具合により、自分で量を加減できるようになることが背景にあるようです。
いつもよりミルクを飲む量が減っても、お子さまが満足した様子であれば心配ありません。 -
離乳食がすすんできてミルクを飲まなくなる
離乳食後のミルクは、ご飯で満足するようになると残したり、そもそもミルクを飲まなくなることもあります。この場合は赤ちゃんにおまかせで大丈夫です。
なお離乳食とミルクの両方をあげる場合は、離乳食を先にあげてくださいね。 -
ミルクを飲みすぎていないか、足りているか心配
すこやかM1に表示されている標準量(目安量)
生後月齢 標準体重 1回に与える
標準量1日の
授乳回数1/2か月まで 3.0kg 〜80ml 7〜8回 1/2か月
~1か月3.7 120 6 1~2か月 4.6 140 6 2~3か月 5.6 160 6 3~4か月 6.4 200 5 4~5か月 7.0 200 5 5~6か月 7.4 200 4+1※ 6~9か月 7.4~8.2 200~220 3+2※ 9~12か月 8.2~8.8 200~220 2+3※ - ※印は離乳食後に飲むミルクの回数です。
- ミルクの量は赤ちゃんの発育や離乳食の進み具合により加減してください。
母乳やミルクを飲む量は個人差があります。
また日によって飲む量が変わります。赤ちゃんの体調や気分によって飲む量は変わるものです。
飲む量がいつも一緒ということはありません。ミルクを飲む量が増えたり、減ったりしても、赤ちゃんが元気なら大丈夫です。 -
ミルクだけをあげる場合(人工栄養、ミルク育児)のミルクの量は?
授乳・離乳の支援ガイドでは「授乳量は子どもによって異なるので、回数よりも1日に飲む量を中心に考えるようにする。」「育児用ミルクの授乳では1日の目安量に達していなくても子供が元気で、体重が増えているならば心配ない」としています。
育児用ミルクのパッケージに書かれている「標準量」は、目安量のこと。
目安の量なので、この量より多いお子様、少ないお子様がいるのは当然で、1回の授乳量が「多い・少ない、前より増えた・減った」と感じても、まずはしばらく様子をみてください。
様子をみるポイントとしては、体重の変化が乳児身体発育曲線にそって増えているかどうか、です。
乳児身体発育曲線は上に 97 パーセンタイル、下に 3 パーセンタイルの曲線がひかれています。
赤ちゃんが 100 人いるとき、97 パーセンタイルは、97 人目の値、3 パーセンタイルは 3 人目の値、のこと。
3 から 97 パーセンタイルを正常範囲としています。
赤ちゃんは一直線に成長するものではなく、月齢によってからだの成長のスピードが異なるので、曲線でえがかれています。
この表は、お子様の身長や体重の増え方を示すものです。だいたい曲線にそって成長していれば大丈夫ですが、正常範囲に入っていてもその曲線から外れていることがわかったら、かかりつけの医師に相談し、そのアドバイスにしたがってください。〈母子手帳の乳児身体発育曲線〉 -
授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html
パーセンタイルとは
子どもの発育状況を知るために、身長や体重の平均値のグラフと比較することがあります。
ただし、この比較では「平均値より上にある」とか「平均値より下にある」のように、大まかな比較検討しかできません。
もう少し詳細な発育曲線基準図が作られていて、それがパーセンタイルを用いたグラフになります。
パーセンタイルとはデータを小さい方から順に並べ、全体を 100 として小さいほうからの何番目に位置するかを表すものです。
出典 乳幼児身体発育曲線の活用・実践ガイドから要約
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku/index.files/jissen_2021_03.pdf -
授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)(厚生労働省)
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母乳とミルクを両方ともあげる場合(混合栄養、混合育児)のミルクの量は?
さまざまな理由で母乳を十分にあげられないことがあるかもしれません。
でも少しでも母乳をあげているなら、母乳育児を続けるためにミルクを有効活用してください。
混合育児では、母乳に加えて、どのような方法で、どのくらいミルクをあげれば良いかわからないと悩む方もいらっしゃいますので、その方法を説明します。 -
母乳とミルクを両方ともあげる方法(母乳が足りないときのミルクの足し方)
①母乳をあげた後にミルクをあげる
②母乳と母乳の授乳の間に、ミルクをあげる母乳をあげた後にミルクをあげる
まず母乳をあげて、その後に様子を見ながらミルクを欲しがるだけあげてください。いらない様子でしたら、缶の表示の量に関係なく、授乳をやめて大丈夫です。
母乳の授乳の間に、ミルクをあげる
夜間はパパなど他の人がミルクを授乳する、など1日の授乳のうち、何回かの授乳をミルクだけにする方法です。
この場合、1回あたりの授乳量は、赤ちゃんの月齢に合わせて、ミルクの缶に表示されている量を目安にあげてください。なお、あくまでも目安なので、この量より多くても少なくてもあわてる必要はなく、赤ちゃんがご機嫌で元気なら「ちょうど良い量」と考え、様子をみて大丈夫です。
母乳を飲んだ量を知るためには、飲む前と後に、10グラム以下の単位で計測できる体重計で赤ちゃんの体重をはかればわかります。ただ医師などからの指示がなければ、毎日はかる必要はありません。
ミルクを飲んだ量を一喜一憂せず、飲む量のことが気になる時は、ミルクを飲んだ量をメモしておいて経過をみて、不安な時はかかりつけの医師に相談してください。 -
ミルクは太る?
「授乳・離乳の支援ガイド 2019年版」検討会では、母乳栄養とメタボリック症候群についての検討結果がしめされています。
「母乳には、小児期の肥満やのちの2型糖尿病の発症リスクを低下させるとの報告がありますが、完全母乳栄養児と混合栄養児の間に肥満発症に差があるとするエビデンスはなく、少しでもミルクをあげると肥満になるわけではない。」 -
ミルクは母乳よりも消化が悪い?
医師や看護師、栄養士などが参考にする「授乳・離乳の支援ガイド 実践の手引き」では、ミルクのほうが消化に時間がかかる、と記されています。
ただ、消化に時間がかかるから悪い、ということは記されておらず、授乳と授乳の間の時間が母乳よりも長めであることが記されています。
なおミルクのほうが「腹持ちが良い」という説がありますが、実践の手引きにはそのようなことは書かれていません。 -
ミルクをあげるのはダメなことですか?
母乳とミルクには違いがあります。でも違いがあるからダメ、ということではありません。
ミルクは母乳が不足しているときやあげられないとき、赤ちゃんに安心してあげられるものです。
母乳とミルク、共通しているのは、赤ちゃんの発育や健康に大切な栄養物であるということです。
適切な量を、ママやパパの負担感の少ない授乳方法であげてください。 -
ミルクを吐いてしまう
吐いたあと、赤ちゃんがふだんとかわらない様子であれば問題ありません。
生まれて4~5か月くらいまでの赤ちゃんは、「吐き戻し」がおこりやすいです。
大人の胃は、上下が締まり袋状になっていますが、4~5か月くらいまでの赤ちゃんは、胃の下部は締まっていても、上部が開いているので、ミルクを飲みすぎると胃に収まりきらず、食道までたまってしまい、ゲップの時や、手足をバタバタした時などに戻ってくること(吐いてしまうこと)があります。
「吐き戻し」の原因は、1回に飲むミルク量が多い、赤ちゃんの飲むスピードが早い、母乳やミルクの勢いが良すぎて空気もたくさん飲んでしまう、ゲップが出にくい、またはゲップが出きっていない…などが考えられます。
1回にミルクを飲む時間としては、10~15分がめやすになります。
これよりも早い場合は、哺乳びんのキャップ(哺乳びんの本体とニプルをつなげるプラスチックねじ)の締め具合でミルクの出方を調整して、飲むペースをゆっくりにしてあげてください。
ミルクを飲ませている後半でペースが落ち着いてきたら、いったんゲップをさせ、一息ついてから改めてミルクをあげるのもおすすめです。
赤ちゃんはミルクなどの液体を飲みこむ時、一緒に空気も飲んでしまいがちなので、大人がゲップをさせてあげる必要があります。ゲップをしてもまだ飲みこんだ空気が残っていると、吐き戻ししやすくなります。この吐き戻しは生後4~5か月頃には落ち着きます。- 【まめコミ相談室】
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心配な「ミルクを飲まない」、や「ミルクを吐いてしまう」とは
ほとんどの「ミルクを飲まない」や「ミルクを吐いてしまう」は心配ありません。
でも、「なにかいつもと違うな…」と感じたときは、下記の情報を参考にしてみてください。
公益財団法人日本医療機能評価機構「いつもと違ってなんとなく元気がないと感じたら」には、「いつもとは違う」母乳やミルクを飲む様子とはどのようなものなのか紹介されています。
なお、こちらに記載してあることに当てはまらなくても、どうしても心配、と感じるときは、医師、保健師、助産師、看護師などに相談することをおすすめいたします。
保護者の皆様のいつもと違ってなんとなく元気がない、という漠然とした感覚は、赤ちゃんの病気の早期発見のためにとても重要です。
このような漠然とした感覚は医療用語でも「なんとなく元気がない」といい、医療関係者にとっても赤ちゃんをみる上でとても大切であるとされています。
いつもの赤ちゃんの様子と比べて違うところはありますか
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- ●哺乳や排せつの様子
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- 乳首を含ませても飲まない
- いつもと比べて1回の授乳量が少ないことが続く
- いつもと比べておしっこの回数や量が少ない
- ●吐いたとき
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- くり返したくさん吐く
- 吐いた後ぐったりしていて、時間が経っても母乳やミルクを飲まない
- ●顔色
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- 青白い
- 唇や唇の周りが紫色
- ●呼吸
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- 浅くて速い
- 喉や胸のあたりからゼーゼーと音がする
- 呼吸のたびにうなる
- ●寝ている時の様子
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- 授乳から時間が経つのにずっと寝ている
- おむつを替えるなど刺激をしても起きない
- 手足を動かさずだらんとしている
- ●機嫌が悪い
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- あやしても泣き止まず、母乳やミルクも欲しがらない
- 泣き声がいつもと違う(甲高い、大きい、弱々しい)
- ●体温
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- 体が熱く、体温が38.5℃以上
- 手足が冷たく、体温が36.5℃以下
- 体温が正常でも母乳やミルクを飲まなかったり、 顔色が悪かったりする
- 具体的に症状を説明できなくても、
いつもと違ってなんとなく元気がないと感じたら、医療機関に相談しましょう。
以下の症状に気が付いた場合は、すぐに受診しましょう
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- ●目つきや顔つきがおかしい
- ●手足を突っ張って小刻みに震える
- ●呼吸が止まる
- ●おしっこやうんち、吐いたものに血が混じっている
出典:公益財団法人日本医療機能評価機構
「保護者の皆様へ いつもと違ってなんとなく元気がないと感じたら~退院後の赤ちゃんについて~」